移住者インタビュー

米粉100%のパンを微細米粉発祥の地で。大きく膨らんだ夢を現実に

「米粉パンと抹茶のお店Yine」を開業された小島さんご夫婦。
胎内市に移住してから膨らんだ夢を実現させ、今も夢に向かって進んでいるお二人にお話を伺いました。

小島 雅彦 さん(新潟市出身)
小島 絵奈子 さん(奈良県出身)
2023年4月に胎内市中条地区に移住
2024年2月に胎内市築地地区に引越し

新潟県胎内市の地区ごとの地図
 

胎内市への移住を考えたきっかけと決め手は何でしたか?

雅彦さん:当時勤めていた会社で内部異動があり、胎内市への勤務になったことがきっかけです。

住んでいた新潟市東区から胎内市に通うことも考えましたが、距離がありますし、大雪だと通勤が大変だと思い、妻に相談しました。
妻は以前から趣味で米粉パンを作っていて、胎内市が微細米粉発祥の地だと知ると「胎内市に行きたい!」と言ってくれました。

妻は今も新潟市中央区で働いています。
自分とは反対に、妻は胎内市に引っ越したら新潟市まで通う必要があるので、どうしようかなと思っていたところはありました。

絵奈子さん:私は、夫から話を聞いた瞬間「やったー!引っ越せるの?」という感じでした。
微細米粉発祥の地で米粉パンを作れることに魅力を感じました。

仕事について教えてください

雅彦さん:2024年5月に「米粉パンと抹茶のお店Yine」の営業を始めました。

そもそも胎内市でお店をやろうと思って移住したわけではありませんが、胎内市に来てからどんどん夢が膨らんで、二人で米粉パンを事業化しようという話になりました。

妻が焼いたパンを販売するなかで私もそれをしっかりサポートしたいと思い、2024年2月に会社を辞め、今はお店1本です。

絵奈子さん:私はもともと米粉パン教室を将来開きたいと思っていました。
米粉を使ったパン屋さんが少ないと思って「米粉パン屋さんが増えればいいのにな~」と言っていたら、夫から「やれば?」と言われて「やるか!」と思ったことが米粉パン屋さんを始めたきっかけです。

雅彦さん:技術的な面でも、持っているメニュー数を増やすという意味でも、お店を開くメリットは大きいですし、良い選択だと思いました。
私もお店を経営していくうえで経理やマネジメントの勉強のために、2024年3月から9月まで短期の学校に通いました。

絵奈子さん:夫がいてくれて助かっています。
月に2回の営業でも、やるべき細かいことがたくさんあって、夫が一緒にやってくれているからお店の営業ができています。

米粉パンと抹茶のお店Yine 商品
絵奈子さんの作る米粉パン

絵奈子さん:ほかに、私は管理栄養士の仕事を続けていて月10日くらいは新潟市まで通っています。
最初は退職しようと思っていましたが、両立できるよう働き方を調整してもらいました。

住まいはどうやって決めましたか?

絵奈子さん:胎内市に来た頃は、夫の会社の寮のようなところに住んでいました。

そのときに、どのお店に入っても、どんな人に出会っても、みんな温かくて嫌な思いをしなかったことと、米粉パンのお店をやはり始めたいと思ったことから、住居兼お店で使えるような物件を探し始めました。

ブラジル出身の女性がオーナーを務める「クマカフェ」という市内の素敵なカフェが空き家バンクで探した物件だと聞いて、空き家バンクを利用しました。

雅彦さん:私たちが求める条件に当てはまる胎内市の物件を宅建協会の方と一緒に見て回りました。

条件にばっちりはまる物件がなかなか見つからなかったときに、宅建協会の方から「空き家バンクの物件ではないが、2人のお話を聞く限りぴったり合いそうなところがあって、そこを見てみる?」という話をもらって今の家を案内してもらいました。
家に入った瞬間「あ、いいね!」と。

絵奈子さん:それまで見た物件は、大幅な改装が必要そうであったり、広くて立派すぎたり、予算の関係もあってぴたっと来なかったんです。
ここは私が好きな土間や縁側もあるし、お庭も少しあるし、広さも含めてすべてがちょうど良かったです。

米粉パンと抹茶のお店Yine 家
以前住んでいた方が残された家具も一部そのまま使っているそう。

絵奈子さん:海や塩の湯温泉にも歩いていけるなんて理想的だと思いました。
海岸にある風力発電の風車が見えるのも良くて、ロケーションが最高だったんですよね。

村松浜海水浴場
自宅から歩いて行ける村松浜海水浴場

雅彦さん:この物件の決め手は、何と言っても裏にある駐車場ですね。
お店を営業する以上、駐車場の問題がありますが、コンビニ跡地を自由に使えるということで駐車場が思いっきりある点が大きかったです。

胎内市に暮らしてみた感想を教えてください

絵奈子さん:ほかの県に住んでいたときに、むらのコミュニティでちょっとしんどいなと思う部分やヨソモノ扱いをされたことがあったので、ここも住んでみたらどうなんだろうと思っていましたが、そんなことは全然ありませんでした。

深入りしてくる方もいらっしゃらないし、かと言って冷たい感じの方もいらっしゃらない。胎内市全体で良い人が多くて、嫌な思いをしたことが一度もありません。
皆さんウェルカムな感じで、とてもありがたく思っています。

お店を始める前に、いろいろなイベントやお店に出向いて「私たちパン屋を始めるんです!」と宣言していたのですが、皆さん仲間のような感じで「一緒に頑張ろう!」と言ってくださる方が多くて、たくさんの方にお世話になっています。

雅彦さん:皆さんからは「胎内市に来てくれてありがとう」という言葉をよくかけてもらいます。

イベントの企画やボランティア活動など胎内市を盛り上げようという人が多いような気がしていて、そのためか18~65歳の現役世代が胎内市に来ることに対して喜んでくれる雰囲気を感じます。
本当に温かいなと思って、びっくりしました。

絵奈子さん:ほかには、食材が豊富なことです。
ブルワリー(胎内高原ビール園)やワイナリー(胎内高原ワイナリー)、お水を作っているところ(胎内高原の水)もありますし、いちごカンパニーカンガスブルーベリーファームなど果物を栽培している方もいます。
新潟製粉の工場もあって米粉もありますし、パンを作る材料が胎内市内でほとんどそろえられることはすごいと思います。

米粉パンと抹茶のお店Yine ベーグル
新潟県産コシヒカリのもちもち米粉ベーグル

雅彦さん:地元で採れた野菜や水を使って美味しい料理を出すお店も多いように思います。
都市部だとチェーン店が多く、どこで食べても同じ味ですが、胎内市は個人店が多いので、みんなそれぞれオリジナルの味で美味しいです。

移住して困ったことなどがあれば教えてください

絵奈子さん:車がないと生活ができないことです。
住んでいるところから駅まで遠いですし、バスもないのでお酒を飲んだら駅から自宅までは公共交通機関で帰れません。
もう少し公共交通機関が充実していたらいいなと思っています。

雅彦さん:移動手段が車しかないので、夜に飲み歩くっていう感覚が胎内市には無い気がしますね。

絵奈子さん:私はできれば車を持ちたくないので、日常生活の移動手段を三輪バイク(トライク)にすることはできないかを考えているところです。
まだ使ったことはありませんが、のれんす号(予約制乗り合い自動車)も活用していけたらいいなと思っています。

今後の展望があれば教えてください

絵奈子さん:今は米粉パン教室を開くために動いているところです。
コース内容を考えたり、地元の奈良県の友人に協力してもらって体験レッスンを夜な夜な行ったりしています!

また、胎内市は微細米粉発祥の地とうたっているので、米粉の勉強をしたい、米粉を食べたいと思ったら「胎内市に行けばいいね!」と全国の人が思うくらいになってほしいなと思っています。
夢は大きく、この土地が米粉のメッカになったらいいなと思います!

雅彦さん:将来は、妻の地元である奈良県と新潟県を行き来したいので、キャンピングキッチンカーを買うことも考えています。
旅行しながらパン屋の営業をして、最終的には海外進出も考えています。

絵奈子さん:できれば、海外の人で米粉パンを作る人を増やしたいと思っています。

雅彦さん:私は長年茶道をしているので、茶道という日本文化を伝えていきたいです。

絵奈子さん:来てくださる方が、旅行がてら胎内市に来て、お店に寄ってくれるのが一番理想的だと思っています。
ここが米粉と抹茶の観光地みたいになったらいいなと思っています。

米粉パンと抹茶のお店Yine 抹茶のシフォンケーキ
抹茶を使った商品も!

これから地方へ移住を考えている方にメッセージをお願いします

絵奈子さん:将来ずっと暮らしていけるかどうかは人間関係が重要だと思うので、住んでみないと分からない部分はありますが、「胎内市はいいですよ!」と伝えたいです。

今まで住んだところと比べて、胎内市はテンポがゆっくりで心が安定しているような気がします。

胎内市での開業については、思ったより集客ができた気がしました。
最初はターゲットを市外や県外の人にして胎内市に来る人を増やしたいと思っていたのですが、ご近所の方に支えられているなと感じているので、内容によっては集客に困らないかもしれないですね。

お客様とゆったりとコミュニケーションをとりながらの営業形態だと、都市部で営業するよりも楽しい気がしますし、常連さんもつきやすいような気がします。
不特定多数のお客様というよりは、リピーターの方に愛されるお店を目指すのが向いていると思います。

雅彦さん:地方に移住して何か事業を始めるときに、対面を中心に考える商売とオンラインでの商売と2種類のやり方があると思いますが、どちらかに偏ってしまっては駄目だと思っています。

やはり地元の方のご理解やご協力が絶対に必要ですし、皆さんにとても助けてもらっています。かと言って、オンラインでの集客や情報発信をしていかないと広がっていきません。
オンラインでの発信をしたことで、新潟市や県外から来る方もいらっしゃいます。

でも、オンラインだけだと、地元の方が「あそこは何をやっているんだろう」と思う可能性もあるので、両方取り組んでいくことが地方で成功する秘訣なのかなと私はこの半年くらいで思いました。

取材日:2024年10月24日

編集後記

おそろいのエプロンを着たお二人へのインタビュー。仲の良さがうかがえて、お二人だからこそお店の運営ができているんだなと強く感じました。

そして、店休日にもかかわらず米粉パンとコーヒーを用意してくださいました…!
お腹が満たされただけでなく、お二人の温かい人柄に触れ気持ちも和みました。

米粉パンとコーヒー
「コーヒーは最近始めました!」とのこと。
米粉パンとシフォンケーキ
米粉プレッツェル、サツマイモとチョコのベーグル、米粉シフォンケーキ(紫芋)。どれも美味しかったです!

住宅を探す際に空き家バンクを活用したお話がありました。
胎内市では、空き家を所有されている方から提供いただいた住宅や店舗を、移住したい方や起業を検討されている方に活用いただけるよう特設サイトにて紹介しています。
ぜひご覧いただきたいと思います。

お店を開業されたお二人からは今後のお話をたくさん聞かせていただきました。
販売している米粉パンや米粉シフォンケーキは、味や食感もオープン当初からだいぶ変わり、どんどん進化しているそうです。

日々邁進しているお二人のお店「米粉パンと抹茶のお店Yine」にぜひ足を運んでみてください!

(地域おこし協力隊 重田)

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