胎内市で里芋栽培に励んでいる、東京生まれ東京育ちの飯利陽壱さん。
農業は未経験だったそうですが、今では砂地で作った胎内産の里芋を広めるために、里芋を育てながら、ホームページでの情報発信やイベント出店に取り組まれています。
奥さまの俊子さんが開いたお店「nino’s カフェ」(Googleマップ)で、俊子さんも一緒にお話を伺いました。
飯利 陽壱さん
出身地:東京都
2021年5月に胎内市中条地区に移住

胎内市への移住を考えたきっかけと決め手は何でしたか?
陽壱さん:同じ東京の中学校に通っていて、約30年前に胎内市に引っ越してきた妻(俊子さん)との結婚がきっかけで、胎内市に移住しました。
もともと2018年から新潟県湯沢町と東京の二拠点生活を送っていたんです。
ウインタースポーツやゴルフ、山歩き、魚釣りもできるし、たまたまマンションが安く手に入ったので、1人で悠々自適に暮らそうかなと思っていました。
湯沢でスキーを満喫したりして東京に帰るという生活を送っていたのですが、東京での仕事も忙しくて、なかなか湯沢に行けないこともありました。
俊子さん:そのときに、東京の中学校の友人から電話があって、「確か新潟に住んでいたよな?湯沢に陽壱さんのマンションがあって、窓の開け閉めでもやってくれないか?」と言われたんです。
その東京の友人は、新潟が広いことが分からないんですよね(笑)
「胎内市から湯沢まで2時間以上かかるけど?」と思ったのですが、中学校を卒業してから会っていないので、どんなじいさんになっているのか興味がわいて行くことにして、それがきっかけで結婚に至り、どこに住もうかという話になりました。
私は、気兼ねなくお喋りできる場所を作りたいと思って、2016年に胎内市で「nino’s カフェ」(Googleマップ)というお店を始めました。
退職金と天引き貯金を全部使って始めたお店で、お店自体が私自身のようなものだったので、お店を辞めて胎内市を離れるのは嫌だったんです。

陽壱さん:そういう話を聞いていると、妻は胎内市にいたい気持ちが強いのかなと思って、「じゃあ胎内市に行くよ」と伝えました。
経営していた会社をたたんで、残務整理などを済ませ、胎内市に来ました。
「移住」と一言で簡単に済まされてしまいますが、地理も知らないし、言葉も分からないので、「将来どうなるの?」とプレッシャーを感じて、しばらくは踏み切れなかったですね。
最終的には、「行ってみて、なるようにしかならないじゃん!移住してやれるところまでやってみよう!」と割り切りました。
東京に未練はないし、後戻りはしたくないなという気持ちでした。
仕事について教えてください
陽壱さん:年金生活で、最低限の生活は保障されているので、特に考えていなかったのですが…。
妻の「nino’s カフェ」のお客さんが、暇そうにしている私を見て、「新潟県五泉市で里芋を栽培している権平さんを手伝ってくれないか。胎内市築地地区にある里芋畑の水の管理だけやってくれないか」と話してくれたんです。
ちょうど「暇だから何かしようかな」と考えていたので、体を動かせるならいいなと思って引き受けることにしました。
そのうち、里芋農家の権平さんとよく話すようになって、次第に「あれやってくれない?」、「これやってくれない?」と声をかけられるようになりました。
「草伸びてきたよね」と言われても、草刈り機なんて持ったことがないから、エンジンのかけ方も、どうやって刈るのかも知らないわけですよ。
権平さんが「俺がやるから見てなよ」と言って、それから草刈りをやってみたら結構楽しかったんです。
持ったこともないものを使って作業しているというのが良かったんですね。
草刈りを覚えたら、「今度は除草剤をまいてくれないか」と言われて、「そんなのまいたことがないしなぁ」と(笑)
そうしていくうちに、「自分ができることはどこまでなんだろう」と思ってチャレンジ精神が出てきました。
YouTubeでスキーのことばかり見ていたのに、突然トラクターの運転の仕方を見始めたから、妻が「どうしちゃったの」とびっくりしていましたね(笑)
それから、真剣に教えてもらうようになって、トラクターを運転したり、マルチを引いたり、種を植えたり、さまざまなことをするようになりました。
ほかの仕事と比べれば農家はつらいと思います。
でも、自由に自分の時間が使えるのは魅力ですよね。
例えば、権平さんから「3日間で、2町歩(1町歩…約9,900㎡)の除草剤をまいてくれたらいいよ」と言われるんですが、2日くらいで終わっちゃうと「じゃあ明日はゆっくり休んでな」と言われるんですよね。
繁忙期は朝から日が落ちるまで作業しますが、時間に余裕が出てくるときもあって、そうなると農家の生活は魅力的だと思いました。
最初のころは8~17時で働くものだと思っていたので、お昼ごはんを食べて13時から作業をしていたら、周りに誰もいないんです。
農家の皆さんは、炎天下を避けて早朝や夕方に作業していることも初めて知りました。
種芋を植えて、毎日管理をしていると、芽が出て、どんどん大きくなっていく様子が分かって感動しました。
権平さんからは「自分で作った里芋は好きなだけ持っていけ。食べてみろ。」と言ってもらって、食べてみたら美味しいんですよ。

砂地で栽培しているので、ぬめりが少なくてあっさりとした里芋なんですが、「自分で作ったから美味しいのかな」と、世間ではどういう反応をされるのかが気になりました。
そこで「nino’s カフェ」に来たお客さんに手土産として里芋を持たせると「美味しい!」と言ってくれるので、「これだったら将来的にうまくいくんじゃないかな」と思い、今年(2025年)、農家の権平さんの方で「胎内産子宝さといも」の名称で商標登録をしていただきました。
ホームページを作ったり、知人に里芋のキャラクターを作ってもらったりして、砂地で作った里芋の美味しさを知ってもらおうと取り組んでいます。
里芋は、ホームページのほか、「nino’s カフェ」やイベントなどでも販売しています。

胎内市に暮らしてみた感想を教えてください
陽壱さん:東京と比べると、胎内市の方が住みやすいと思います。
例えば、東京で駐車場を借りると、1ヶ月2~3万円するけれど、胎内市なら土地も広いし、一軒家なら車を止めるスペースもあって、どう止めようが誰にも文句は言われないですよね。
食でも、人とのお付き合いがあれば、私が何かを持っていくと、相手も何か持ってくるというようなお裾分けの精神がある場所なので、新鮮な野菜が手に入ります。
そういったことを踏まえると、東京だと家賃や食費が高いので、多く給料をいただいても出費がかさみますが、胎内市なら収入は少なくても出費も少ないので良いと思います。
自分の趣味のスキーで考えると、東京から新潟にスキーをして1泊して帰ると4~5万円かかりますが、胎内市なら胎内スキー場があるのでリフト代とコーヒー代くらいで済むわけです。
市内に限らずとも、隣の新発田市の二ノックスにもすぐ行けますし、贅沢をしたかったら山形県の蔵王温泉スキー場にも行けます。
立派なスキー場が近くにたくさんあって、趣味を満喫できます。

海も近くて魚釣りができるし、ゴルフ場も市内に4つもあるから、遊ぶ場所がたくさんありますね。
あとは、仕事でも遊びでも、周りの人が良い方ばかりです。
「nino’s カフェ」に来るお客さんが「今度どこに行こうか」みたいな話をしていると、妻が間に入って「そしたら陽壱さんも連れて行ってあげてよ」と話してくれたり、胎内市の方は人とのつながりが広い方が多いから、人づてにどんどんつながっていきました。
周りの人に恵まれていることは、胎内市に移住して良かったと思うことですね。
移住して困ったことなどがあれば教えてください
陽壱さん:言葉ですね。
皆さん気を遣って、私には標準語で話してくれますが、私がいないところで皆さんが話しているのを聞いても、何を言っているのか分からないことがありますね。
俊子さん:私が東京から来て困ったことは雪です。
移住当初、「雪って綺麗でいいよね。いつまで降るの?」と聞いたら、「冬の間はずっと降るよ」と言われてびっくりしました(笑)
陽壱さん:私はスキーが趣味なので、雪のことは分かっていたつもりでしたが、レジャーの雪と、生活するうえでの雪はやっぱり違うなと感じました。
これから地方へ移住を考えている方にメッセージをお願いします
俊子さん:ビジョンをしっかり持たないとだめですよね。
何をするために移住したいのかを、移住前にきちんと考えた方がいいと思います。
陽壱さん:確かに、中途半端に「移住」ということは考えない方がいいと思います。
あなたのビジョンややりたいことに対して、「ぜひやってください!」と言ってくれたり、しっかりサポートをしてくれる自治体を選んでください。
取材日:2025年11月12日
▶ 陽壱さんが栽培している「胎内産子宝さといも」についてはホームページをご覧ください!
▶ 胎内市では移住相談を承っております。どこに移住するか決めかねている方も、お気軽にご相談ください。移住相談・問い合わせはこちらから!
編集後記
明るい表情でキラキラした目で話す陽壱さんを見て、なんでも前向きに取り組む人柄が表情にも表れているなと、お話を聞きながら感じました。
奥さまの俊子さんも、温かく迎えてくださり、「nino’s カフェ」(Googleマップ)に今度は客として行くことを決意しました!
さて、陽壱さんは知人の紹介で農業を始めましたが、農業に興味があって移住を検討される方も少なくないかと思います。
胎内市では、移住を検討している方が受けられる、農業体験や短期研修を用意しています!
詳細は、市ホームページ(胎内市/農業体験・短期研修メニュー・相談窓口)をご確認ください。
見知らぬ土地で農業を始めることはハードルが高いと思いますが、こういった制度を活用して、胎内市の農業についてはもちろん、生活環境などもご確認いただき、胎内市での暮らしが自分に合うかどうかを検討いただければと思います!
質問などがありましたら、移住相談・お問い合わせからお気軽にご連絡ください!
(地域おこし協力隊 重田)